QTcの測り方と目的(QT間隔)
医師「この患者さんのQTc測って後で報告してね~(スタスタスタ...)」
くず「え⁉QT...なんだそれ!なんて言いました?先生ー!!」
皆様QTcとはご存知でしょうか。
大抵のICUの看護師さんでしたら知っていて当たり前でしょう。
でもくず看護師である私は最初「はて?なんだそれ?」でした。
また怖さを知らなかった私は「QTc測定すればいいのね、ハイハイ。・・・0.5秒と。計算で来たしOK👌」なんて計算したことに達成感を覚えて終了していました。
馬鹿野郎ー‼
いつ大事故を起こして免許剥奪になっていてもおかしくありませんね。
さて今回はQTcについて勉強です
1.QTcとは
QTc=補正QT間隔(QT時間)
QT時間で計測された数字を補正したうえで心臓の状態にどのような異常があるかを判断するためのデータのこと
2.QT時間とは
★QT時間:心電図のQ波のはじめからT波の終わりまでのこと(活動電位持続時間)
QT時間は心室筋が脱分極から再分極に至るまでの時間を指します。
※脱分極・再分極についてはさらに難しくなるので別ページで
3.QTcについて
QtcとはそのQT時間を心拍数などの要素を考慮し補正したものです。
QT時間というのは心拍数によって長さが伸縮します。
そのため下記の計算方法で計算し伸縮を補正した値を出すのです。
心室筋が脱分極から再分極に至るまでの時間を計測することで心臓が正しく活動しているかどうかを心電図で確認します。
QTc正常値=0.36秒以上、0.44秒未満
通常この数値が0.44よりも長いと後天的な異常や心臓の疾患が疑われます。また短くてもいけません。Qtcの異常を放置しておくと生命に関わる場合もある程大切なものです!(後述します)
では実際に計測に参りましょう!!
4.QTcの計測方法
①12誘導心電図をとる
②その中で1番 P波、QRS波、T波がハッキリしている波形を探す
③QT間隔をだす
1 Q波のはじめ~T波の終わりまでのマス目を数える
★皆さんこのままQ波はじめ~T波の終わりまでのマス目を数えませんでしたか?
それでは正確なQT間隔が測れていない可能性が高いです。
T波の終わりは心電図上では見にくいものが多く脈拍数によってカットオフ値(基線と交わる部分)が変化します。QTの測定を目測で行うと実際にQTが延長していれば過小評価し、延長していなければ過大評価してしまう可能性があります。
ではどうするか。
「接線法」という方法をもちいます
2 T波下降脚の最大傾斜部に沿って線を引く(当たり前だが定規を使おう)
3 心電図波形の基線に沿っても線を引く(当たり前だが定規を使おう)
4 2で引いたT波下降脚の線と3で引いた基線の線の交わった場所をT波の終わりとする
実際に上の心電図でやってみました
少し見えにくいですが
緑線=T波下降脚の最大傾斜部に沿った線
青線=基線に沿った線
黄色点=交わった部分(T波の終わり)
オレンジ線~オレンジ線=QT間隔
こうしてみると目測と接線法では1~2コマ程度ずれが生じてしまいそうですね。
この心電図波形でのQT間隔は9コマ(mm)です。
④QT時間をだす
QT間隔をQT時間に変更しましょう
心電図波形の小さい1コマ(1mm)=0.04秒
9×0.04=0.36(秒)
④RR間隔をだす
1.心電図のR波ーR波間のマス目を数えます
この時、さきほどQT波形で使用した波形とその前の波形のRRをだします(QT間隔に影響を与えているのはその再分極の直前の心拍数=1つ前の波形のため)
青線~青線=RR間隔
見えにくいですがRR間隔は22コマです
⑤RR時間をだす
先述のQT時間算出と同じ方法でRR時間も計算します
22×0.04=0.88秒
⑥QTc時間を計算する
QTc計算式
QTc=QT/√RーR
ですが私は√とかよくわからない人間なので電卓で計算します。
1 まず電卓にRR時間の0.88を表示
2 √ (ルート)ボタンを押し=を表示させる
3 出た値=√RーR
今回の場合は√RーR=√0.88→0.86…
4 QT=0.36なので
0.36÷0.86=0.418…
四捨五入して約0.42秒
QTC=0.42秒(正常値)
となります。
自動計算ツールもネットで沢山ありますが、覚えてしまったほうが楽だと私は思いますのでここではあえてURLを載せません。
QTc延長・短縮がみられるとどうなるかまで記載しようと思いましたが、かなり長くなったので次回にしますね★
今日も1日お疲れさまでした💑